親が「そんな人知りません」と言った日。~認知症による「口座凍結」の真実~
- 久保巌

- 5月15日
- 読了時間: 2分

先日、あるお客様が事務所を訪ねてこられました。
「家族信託の手続きをしたい」という具体的なご依頼です。
詳しくお話を伺うと、ご友人から強く勧められたことがきっかけだったそうです。
そのご友人は最近、お母様の物忘れがひどくなってきたため、
介護施設の費用に充てようと、銀行へ定期預金の解約に行きました。
今の時代、たとえ親子であっても本人確認は非常に厳格です。
銀行の担当者は「お母様の意思確認が必要です」と言い、
その場で施設にいるお母様へ電話を繋ぎました。
担当者が「今、娘さんが預金の解約に来ていますが、手続きを進めてもよろしいですか?」と尋ねたところ、
受話器越しに聞こえてきたのは、思いもよらない言葉でした。
「私は、そんな人(娘)なんて知りません!」
お母様はパニックになったのか、
そのまま電話をガチャリと切ってしまったそうです。
その瞬間、銀行はお母様の判断能力が不十分であると判断し、
口座は「凍結」されてしまいました。
ご友人は「親が元気なうちに準備しておかないと、本当に手遅れになるよ」と、
涙ながらにお客様に訴えたといいます。
これは決して珍しい話ではありません。
親が認知症になり、判断能力を失ったと見なされると、銀行口座からお金を引き出すことはおろか、自宅を売却して介護費用を作ることも、誰かに貸して管理することもできなくなります。
いわば、家族の大切な資産が「ロック」されてしまうのです。
驚くべきことに、
こうした「認知症による資産凍結のリスク」を正しく知っている人は、
いまだに全体の半分以下だと言われています。
「うちの親はまだ大丈夫」「家族だからなんとかなる」という思い込みが、
一番の落とし穴です。
親が元気な今だからこそできる「予防策」があります。
それが**「家族信託(民事信託)」や「任意後見制度」**です。
これらを活用すれば、あらかじめ信頼できる家族に財産の管理を託し、
万が一の際もスムーズに介護費用を支払ったり、
住まいを管理したりすることが可能になります。
何もしないまま認知症という壁にぶつかってしまう前に。
大切な家族の安心と安全を守るための「心の準備」を、今から始めてみませんか。
司法書士 久保 巌


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